外務省からの狂犬病に関する渡航情報
送信日時:2010/03/12←ここ重要
情報種別:広域情報
狂犬病~もし、咬まれたらすぐに医療機関へ(2010年3月)
※ 本情報は、海外に渡航・滞在される方が自分自身の判断で安全を確保するための参考情報です。本情報が発出されていないからといって、安全が保証されるというものではありません。
※ 本情報は、法令上の強制力をもって、個人の渡航や旅行会社による主催旅行を禁止したり、退避を命令するものでもありません。
※ 海外では「自分の身は自分で守る」との心構えをもって、渡航・滞在の目的に合わせた情報収集や安全対策に努めてください。
1.狂犬病の発生状況
狂犬病は日本、英国、オーストラリア、ニュージーランドなどの一部の
国を除いて全世界に分布しており、ほとんどの国で感染する可能性があり
ます。
毎年、世界中で5万人以上の人が狂犬病感染で死亡しており、特にアジ
アを中心とした地域で発生が多く確認されていますが、北米、欧州の一部
地域でも感染のおそれがあります。
報告のあった各国の発生状況は以下の通りです。
(1)中国
中国衛生部は、狂犬病の人への感染事例につき、2008年1月~12月は発
病数2,544人(死亡者2,381人)、2009年1月~12月は発病数2,281人(死亡
者2,103人)、2010年1月の発病数は126人(死亡者116人)である旨発表し
ました。
(2)インドネシア
インドネシア国内全体の狂犬病による死亡者は毎年約100人前後であ
り、バリ保健当局は、2008年11月28日に初めての感染事例が確認されて以
降、2010年3月3日までバリ州1市6県において21人の死亡(他、疑い例18
人)が確認された旨述べています。インドネシア保健省及びバリ州当局は
住民に対して狂犬病に対する啓蒙活動を行うとともに、狂犬病の疑いのあ
る犬等に咬まれた場合には速やかに病院あるいは地域保健センターで適切
なワクチン接種を受けるよう呼びかけています。また、ペットに対する狂
犬病予防接種も実施しており、現時点では46%が接種を受けているとのこ
とです。
(3)米国
米国疾病管理予防センターは、2008年1月~12月に49州とプエルトリコ
で、動物の狂犬病感染事例が6,841例、人への感染事例が2例(カリフォル
ニア州及びミズーリ州)報告された旨発表しました。感染した動物の93%
は野生動物で、主な動物はアライグマ(34.9%)が最も多く、その他スカ
ンク(23.2%)、キツネ(6.6%)、猫(4.3%)、犬(1.1%)、牛(0.9%)
でした。また、2010年2月16日、ニューヨーク市保健精神衛生局は、セン
トラルパーク内で狂犬病のアライグマが39匹確認されたことから、セント
ラルパーク内外のアライグマに狂犬病ワクチンの接種を開始することを発
表しました。また、併せてNY市民に対し、野生動物を避け、また、ペット
に対する狂犬病予防接種を行うよう注意を呼びかけています。
その他、狂犬病の発生状況については、厚生労働省のホームページも御
参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/pdf/03.pdf
日本では狂犬病が撲滅されているため、その危険性を忘れがちですが、
2006年11月に、フィリピンで犬に咬まれた日本人が帰国後に発症、死亡す
る事例が確認されました。
世界各国では現在も感染者が存在する病気なので、海外に渡航、滞在さ
れる方は以下の点に御留意ください。
2.狂犬病について
(1)感染源
狂犬病は、日本では撲滅された感染症ですが、世界中で感染者が出てい
ます。狂「犬」病という名称ですが、犬に限らず、猫やイタチ等他の哺乳
動物(北米ではアライグマ、スカンク、コウモリ、欧州ではキツネ、アフ
リカではジャッカルやマングース、その他牛や馬など)からも感染するこ
とがあります。狂犬病に感染した犬等の唾液中にウイルスが存在しますの
で、主に動物に咬まれることで、その傷口からウイルスが体内に侵入しま
す。
(2)症状
人の場合、潜伏期間は一般に1か月~3か月で、長い場合は1年~2年後に
発症した事例もあります。発症した場合はほぼ100%死亡します。症状は
発熱、頭痛、嘔吐などに始まり、次いで筋肉の緊張、けいれん、幻覚が現
れます。水を飲むとのどがけいれんをおこし(恐水症)、冷たい風でも同
様にけいれんをおこします(恐風症)。犬の遠吠えのようなうなり声をあ
げ、よだれを大量に流し、昏睡、呼吸麻痺が起き、死に至ります。
(3)予防方法
(イ)動物にむやみに手を出さない。
日本人は犬や猫を見ると無防備に手を出したり、撫でたり、手から直
接餌を与えたりしますが、むやみに犬や猫、その他の動物に手を出さな
いようにしてください。他人のペットであっても要注意です。
(ロ)具合の悪そうな動物には近づかない。
狂犬病の犬は、多量のよだれを垂らし、物に咬みつく、無意味にうろ
うろするなど独特の行動をします。
(ハ)予防接種(暴露前接種)
狂犬病ワクチンは国内の医療機関で接種することが可能ですが、現
在、狂犬病ワクチンの在庫が減少している状況に鑑み、狂犬病の流行地
域からの帰国者で犬等に咬まれた方、狂犬病の流行地域への渡航予定者
で犬等に接触する可能性が高い方に優先的に接種されています。渡航、
滞在先で動物を対象に活動する場合や付近に医療機関がない地域に滞在
する場合には、検疫所ホームページに掲載されている以下の予防接種可
能な医療機関に御相談ください。
http://www.forth.go.jp/tourist/vaccine-intro.html
狂犬病ワクチンを接種する場合は、初回接種後、30日目、6~12か月後
の計3回接種します。
(4)万一動物等に咬まれた場合の対策
狂犬病にかかっているおそれのある動物に咬まれてしまった場合、直ち
に十分に石けんを使って水洗いをします(傷口を口で吸い出したりしな
い)。その後、すぐに医療機関で傷口を治療し、ワクチン接種をします。
発病前であれば、ワクチンの接種は効果があると考えられていますので、
必ず接種してください(破傷風トキサイドワクチンを未接種の方は狂犬病
ワクチンの接種とともに、破傷風トキサイドワクチンの接種も必ず受けて
ください。)。事前に狂犬病の予防接種を受けている場合でも、狂犬病に
かかっているおそれのある動物に咬まれた場合は治療を目的としたワクチ
ン追加接種が必要となりますので、必ず医療機関で受診してください。
また、現地医療機関での受診の有無にかかわらず、帰国時に検疫所(健
康相談室)に御相談ください。
(問い合わせ先)
○外務省領事局政策課(医療情報)
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2850
○外務省領事サービスセンター(海外安全担当)
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902
○外務省 海外安全ホームページ: http://www.anzen.mofa.go.jp/
http://www.anzen.mofa.go.jp/i/ (携帯版)
情報種別:広域情報
狂犬病~もし、咬まれたらすぐに医療機関へ(2010年3月)
※ 本情報は、海外に渡航・滞在される方が自分自身の判断で安全を確保するための参考情報です。本情報が発出されていないからといって、安全が保証されるというものではありません。
※ 本情報は、法令上の強制力をもって、個人の渡航や旅行会社による主催旅行を禁止したり、退避を命令するものでもありません。
※ 海外では「自分の身は自分で守る」との心構えをもって、渡航・滞在の目的に合わせた情報収集や安全対策に努めてください。
1.狂犬病の発生状況
狂犬病は日本、英国、オーストラリア、ニュージーランドなどの一部の
国を除いて全世界に分布しており、ほとんどの国で感染する可能性があり
ます。
毎年、世界中で5万人以上の人が狂犬病感染で死亡しており、特にアジ
アを中心とした地域で発生が多く確認されていますが、北米、欧州の一部
地域でも感染のおそれがあります。
報告のあった各国の発生状況は以下の通りです。
(1)中国
中国衛生部は、狂犬病の人への感染事例につき、2008年1月~12月は発
病数2,544人(死亡者2,381人)、2009年1月~12月は発病数2,281人(死亡
者2,103人)、2010年1月の発病数は126人(死亡者116人)である旨発表し
ました。
(2)インドネシア
インドネシア国内全体の狂犬病による死亡者は毎年約100人前後であ
り、バリ保健当局は、2008年11月28日に初めての感染事例が確認されて以
降、2010年3月3日までバリ州1市6県において21人の死亡(他、疑い例18
人)が確認された旨述べています。インドネシア保健省及びバリ州当局は
住民に対して狂犬病に対する啓蒙活動を行うとともに、狂犬病の疑いのあ
る犬等に咬まれた場合には速やかに病院あるいは地域保健センターで適切
なワクチン接種を受けるよう呼びかけています。また、ペットに対する狂
犬病予防接種も実施しており、現時点では46%が接種を受けているとのこ
とです。
(3)米国
米国疾病管理予防センターは、2008年1月~12月に49州とプエルトリコ
で、動物の狂犬病感染事例が6,841例、人への感染事例が2例(カリフォル
ニア州及びミズーリ州)報告された旨発表しました。感染した動物の93%
は野生動物で、主な動物はアライグマ(34.9%)が最も多く、その他スカ
ンク(23.2%)、キツネ(6.6%)、猫(4.3%)、犬(1.1%)、牛(0.9%)
でした。また、2010年2月16日、ニューヨーク市保健精神衛生局は、セン
トラルパーク内で狂犬病のアライグマが39匹確認されたことから、セント
ラルパーク内外のアライグマに狂犬病ワクチンの接種を開始することを発
表しました。また、併せてNY市民に対し、野生動物を避け、また、ペット
に対する狂犬病予防接種を行うよう注意を呼びかけています。
その他、狂犬病の発生状況については、厚生労働省のホームページも御
参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/pdf/03.pdf
日本では狂犬病が撲滅されているため、その危険性を忘れがちですが、
2006年11月に、フィリピンで犬に咬まれた日本人が帰国後に発症、死亡す
る事例が確認されました。
世界各国では現在も感染者が存在する病気なので、海外に渡航、滞在さ
れる方は以下の点に御留意ください。
2.狂犬病について
(1)感染源
狂犬病は、日本では撲滅された感染症ですが、世界中で感染者が出てい
ます。狂「犬」病という名称ですが、犬に限らず、猫やイタチ等他の哺乳
動物(北米ではアライグマ、スカンク、コウモリ、欧州ではキツネ、アフ
リカではジャッカルやマングース、その他牛や馬など)からも感染するこ
とがあります。狂犬病に感染した犬等の唾液中にウイルスが存在しますの
で、主に動物に咬まれることで、その傷口からウイルスが体内に侵入しま
す。
(2)症状
人の場合、潜伏期間は一般に1か月~3か月で、長い場合は1年~2年後に
発症した事例もあります。発症した場合はほぼ100%死亡します。症状は
発熱、頭痛、嘔吐などに始まり、次いで筋肉の緊張、けいれん、幻覚が現
れます。水を飲むとのどがけいれんをおこし(恐水症)、冷たい風でも同
様にけいれんをおこします(恐風症)。犬の遠吠えのようなうなり声をあ
げ、よだれを大量に流し、昏睡、呼吸麻痺が起き、死に至ります。
(3)予防方法
(イ)動物にむやみに手を出さない。
日本人は犬や猫を見ると無防備に手を出したり、撫でたり、手から直
接餌を与えたりしますが、むやみに犬や猫、その他の動物に手を出さな
いようにしてください。他人のペットであっても要注意です。
(ロ)具合の悪そうな動物には近づかない。
狂犬病の犬は、多量のよだれを垂らし、物に咬みつく、無意味にうろ
うろするなど独特の行動をします。
(ハ)予防接種(暴露前接種)
狂犬病ワクチンは国内の医療機関で接種することが可能ですが、現
在、狂犬病ワクチンの在庫が減少している状況に鑑み、狂犬病の流行地
域からの帰国者で犬等に咬まれた方、狂犬病の流行地域への渡航予定者
で犬等に接触する可能性が高い方に優先的に接種されています。渡航、
滞在先で動物を対象に活動する場合や付近に医療機関がない地域に滞在
する場合には、検疫所ホームページに掲載されている以下の予防接種可
能な医療機関に御相談ください。
http://www.forth.go.jp/tourist/vaccine-intro.html
狂犬病ワクチンを接種する場合は、初回接種後、30日目、6~12か月後
の計3回接種します。
(4)万一動物等に咬まれた場合の対策
狂犬病にかかっているおそれのある動物に咬まれてしまった場合、直ち
に十分に石けんを使って水洗いをします(傷口を口で吸い出したりしな
い)。その後、すぐに医療機関で傷口を治療し、ワクチン接種をします。
発病前であれば、ワクチンの接種は効果があると考えられていますので、
必ず接種してください(破傷風トキサイドワクチンを未接種の方は狂犬病
ワクチンの接種とともに、破傷風トキサイドワクチンの接種も必ず受けて
ください。)。事前に狂犬病の予防接種を受けている場合でも、狂犬病に
かかっているおそれのある動物に咬まれた場合は治療を目的としたワクチ
ン追加接種が必要となりますので、必ず医療機関で受診してください。
また、現地医療機関での受診の有無にかかわらず、帰国時に検疫所(健
康相談室)に御相談ください。
(問い合わせ先)
○外務省領事局政策課(医療情報)
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2850
○外務省領事サービスセンター(海外安全担当)
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902
○外務省 海外安全ホームページ: http://www.anzen.mofa.go.jp/
http://www.anzen.mofa.go.jp/i/ (携帯版)